これから建てる新築の家を墨付け、刻みしています。
新築の家はすべてこの墨付け手刻みで造っています。
こんな認定証もあります。
先日「チルチンびと」を読んでいてふと目につきました。
「自分の会社にもあったな」と。
国産材の仕様を推進する会社としての認定証ですから、別に
墨付けや手刻みをしなければならないわけではありません。
墨付けや手刻みはやはり経験と慣れです。
年配の大工さんならたいがい経験があると思いますが、普段
から実際にやっていないといきなり取り掛かると戸惑います。
若い大工さんだと全く経験がないかもしれません。
ハウスメーカーの家などはそんな技術は必要ありませんから、
全く経験をせずに育っていくことになります。
しかし、大工さんという職業の醍醐味というか根本にあるものは
この墨付けと手刻みではないかと思います。
家づくりにおける経済性と能率を考えればプレカットの方が優
れています。
ですから今の若い大工さんは墨付けや手刻みの経験する機会が
少ないです。
個人的な意見ですが、せっかく大工さんを目指しながらも一番
おいしいところを経験しないで育っていきます。
墨付け、手刻みは家の構造を知る上でも大事な工程です。
同じ木材でもどう組めばより強くなるか、木材はどの向きに使えば
よいかなど自分で考え工夫しながら墨付けをして刻むから面白いの
です。
そして上棟となれば自分が考え抜いて、手間をかけた家が建ちあがる
ことになります。
プレカットで加工された家を建てるのとは達成感は全く違います。
それだけに責任もあります。
どんな大工さんも上棟の前日は緊張と不安で眠れないことがある
といいます。
職人不足、大工さん不足はこれからも続きますが、墨付け手刻みが
できるのならなりたいと考える若い人はいるようです。
伝統的な技術は守っていかなければならないと思いますが、守って
いこうと思う魅力もあるのではないでしょうか。