古民家はつい10年ほど前までは今ほどリフォームの対象
にはなっていませんでした。
残念ながらあっさりと解体されていた家もたくさんあった
と思います。
確かに古民家のリフォームは難しいかもしれません。
現代の生活様式には合わない間取りや造りは扱いにくく、
リフォームするよりも建て替えたほうがいいと考える人が
多かったと思います。
それはそこで暮らしている人もそう考えていましたし、施工する
側も難しいリフォームよりは建て替えたほうが簡単です。
幸い古民家も人気が出て、活用しようと考える人が増えて
たくさんリフォームされています。
古民家の良さはやっぱりその木組み(構造)の美しさだと思います。
丈夫な建築物は美しくもあります。
現代のようにきれいに製材されて構造材ではなく、自然のままの
形を生かして使われています。
技術的にもきれいに製材された木を扱うようにはいきません。
プレカットもできません。
大工さんの墨付け、手刻みです。
組み方にはある程度の決まりはあっても使う木材の大きさ(断面)
は大工さんの勘によるところが大きかったと思います。
それは現代の構造計算に基づいた梁成ではないですが、全体に材積
が大きく強度的にも余裕のある使い方がされています。
筋違や合板はなくても継ぎ手や仕口を工夫することで強度を持たせ
ています。
断面が大きいので接合部も当然強くなります。
太い柱はそれだけで上からの荷重を受けて倒れにくくなります。
その木材が乾燥することでねじれなどが生じてさらに頑丈になる
という造りですから、後は水平材(貫や差鴨居)があれば大丈夫です。
構造さえしっかりしていればリフォームにも十分耐えられます。
ですから同じリフォームをするならばなるべくその工法を生かして
したいものです。
そうすれば世代が変わってもまたリフォームすることができるでしょう。