先日、全国古民家再生協会の主催で大工棟梁検定を

開催させてもらいました。

1820×105×105のヒノキ材を使って柱と桁の仕口

を造ってもらいます。

仕口と言っても現代の家のように金物を使う仕口では

ありません。

これが完成ですが、ホゾを貫通させてクサビと込み栓

を使って固定する方仕口です。

まずは材料の選定から始まります。

並んでいる木を端から持っていく大工さんもいれば、これ

から刻む材料をよく吟味して取っていく大工さんもいます。

まずは加工のための墨付けからです。

墨ツボと墨差し、差し金を使ってもらいます。

加工はすべて手作業です。

電動工具は使えません。

ノコギリ、ノミ、金づち、を使って刻んでもらいます。

ノコギリも縦ひきはコツもいりますし、電動丸鋸のように

簡単には切れません。

ノミも同じです。

電動の角ノミが普及してますから、刻みをしている大工さん

でもノミを使ってほぞ穴を掘ることはあまりないと思います。

 

全て昔ながらの道具と手作業での組み立てです。

実際のところ、これができたからと言ってすぐに家が一軒建て

られるわけではありませんが、基本的な技能は推し量ることは

できます。

しかし、現代の家づくりにはこのような技術はなくても家は建

てることができます。

構造材はほとんどプレカットです。

造作材も既製品があります。

ノミや鉋や鋸がなくても組み立てることができます。

プレカットや既製品を扱っている大工さんではこのような仕口を

造ることはできないかもしれません。

このような仕口を造る技術は必要がないともいえます。

大工さんの仕事も二極化していくのでしょうか。

すでにそうなっているのでしょうか。

それとも、このような時間と手間のかかる技術は不要になっていく

のでしょうか。

大工さんの中にはまだこのように検定を受けようとする人もいます。

このような木組みが好きな大工さんもいます。

神社や仏閣ほど組み方ではなくても伝統的な継手、仕口といった加工は

後世に残していくべきものではないかと思います。