典型的な伝統工法といわれる古民家です。

耐震補強の依頼を受けて相談に行きました。

当社は耐震補強だけで仕上げは別の業者さんが担当しました。

3者でこれからの工事の話をしていたとき、施主さんは耐震

補強をしてほしいという要望でした。

そこで仕上げを担当する工務店の方が「耐震補強をした場合、

何らかの保証というものがるんでしょうか」

と訊かれました。

私は「保証はありません」と答えました。

耐震補強をすれば大地震に遭っても無事に地震をやり過ごし、

使い続けることができる そこで暮らし続けることができる建

物である と理解するのが普通です。

建築業界の人でさえ、保証があるのか と思うくらいなのです

から一般の人はなおさらです。

しかし、基準法上の耐震とは

建物の供用期間中に数回起こる可能性のある中規模の地震に対して

大きな損傷は生じないこと

建物の供用期間中に1度起こるか起らないかの大地震に対して使用者

の命にかかわるような損壊を生じないこと

とあります。

これは具体的に言うと

震度5程度の地震において水平変位量を仕上げ・設備に損傷を与えない

程度(階高の200分の1以下)に抑えて構造体を警備場損傷にとどめる

(階高の1/200以下というと3mの階高で15㎜の変異ですから、左官

仕上げの壁などは隅っこにひび割れが起きると思います)

そして、震度6程度の地震においては中規模の倍くらいの変位は許容する

が、倒壊を防ぎ圧死者は出さないことを目標とする ということです。

「震度7程度の地震に耐える基準で設計されている」ということは震度7

程度の地震で人命に損傷を与えるような破壊は生じないだろう という

意味で住み続けられるという保証はしていません。

 

地震というのは、同じ震度でもどんな揺れ方をするかで変わりますし、

同じ揺れでも立地条件にもよります。同じ強度を確保した家でも、間取り

によって耐震性が変わります。

どれだけ正確に施工しても不確定な要素はあります。

しかし、今のところは基準法、品確法、対応できる計算方法に沿って補強

するしか施工店にとって対処する方法はありません。