吉田五十八(いそや)という建築家がいます。
近代数寄屋建築の創始者です。
ある人がこの方に「住宅建築の極地とはどんなものか」
と尋ねたところ
「特に目立って褒めるところもないし、といってまたけなすところもない
そしてすぐに帰りたいという気にもならず、ついいい気持になってズルズル
と長く居たといったような住宅が住宅建築の極地である」
と答えたそうです。
どう造ればそう感じられるのかはわかりません。
間取りでしょうか、それとも風通しや光の差し込み方。
内装の仕上げや造作も影響するかもしれません。
少なくとも、使われている材料の影響はあるでしょうね。
新建材やビニールクロスで造られた空間はそれほど気持ちのいいものでは
ありません。
これは見えないところに使われている材料も含まれるかもしれません。
現代の住宅は性能重視になってきています。
空調設備で快適な空間を造るという点では優れていますが、いい気持になって
長居する空間ではないように感じます。
五感が快適に感じるような家づくりが少なくなってきたように思います。