ある古民家の床下です。
現代の住宅は基礎で囲まれているので外から見ることは
できませんが、古民家は石場建といって基礎がなく石の
上に柱や束が載っているだけなので、板でふさがれてい
ない限り外から見ることができます。
現代の家はコンクリートの基礎の上に土台といわれる木材
が載っています。
そしてその土台の上に柱や壁が載っています。
筋違のある壁の下には基礎が必ず必要です。
土台の寸法は大体12センチ角で、それに直行して大引(9セ
ンチ角)といって床を支える木材が掛けられ束という部材で
支えられています。
その大引の上に根太が直交して這わされ、その上にまた直行
して床板が貼られています。
しかし、古民家の床組みは土台は今とほぼ同じくらいの木材
が使われていますが、大引は土台よりも大きな丸太が使われて
いることが多いです。
写真もその通りです。
根太も今のような角材はめったになく細い丸太が使われています。
丸太は製材する手間が省けますが、現場での加工、組み立てには
かなり手間がかかります。
昔は製材は高かったのかもしれませんし、製材すると断面が小さく
なってしまうからかもしれません。
写真でもわかるように柱、土台、大引は束を介して石の上に載って
いるだけです。
現代の家のように土台や柱が基礎のコンクリートにアンカボルトで
固定されているわけではありません。
地震が起きれば、柱や束が石からずれることもあるでしょう。
大きな地震になれば浮き上がることもあるかもしれません。
しかし、固定されていないがために地震による揺れを緩衝してくれる
というメリットもあります。
また、今では腐朽しやすい木材は湿気から守るために地面から40センチ
以上離すことが義務付けられていますが、これだけ風通しが良ければ
腐ることはめったにないでしょうし、現にこの家はかなり昔からこの
状態を保っています。