今日はお引渡でした。
自然素材の家というのは、住む人から見ると扱いにくく感じることが
あるようです。
新築にしても、リフォームするにしても、家を検討する段階ではいろ
んな工務店やハウスメーカーを訪ねてまわり勉強していくことが多い
と思います。
その中で、自然素材というのは扱いにくいものというイメージを持って
しまうことがあります。
特に自然素材を扱わないハウスメーカーなどは否定的な意見が多くなる
ようです。
体の健康や成長段階の子供さんにとってはいいものとはわかっていても
生活の場に使うという点ではデメリットもたくさんあります。
新建材に比べて傷がつきやすい、汚してしまった時にどうすればいいか
わからない、反ったり縮んだりする、床板に隙間ができる、漆喰の壁と
木の間に隙間ができる、ビニールクロスに比べて和紙や布系のクロスは
継ぎ目が目立ったり、下地の荒が出やすくなる などといったことがあ
ります。
私も以前ハウスメーカーの仕事をしていました。
竣工検査では、それこそ重箱の隅をつつくようなことが指摘されます。
小さな傷はもちろん建具の調整から床下の清掃具合など、指摘用のテープ
があちこちに張られます。
それを一日、二日かけて直したことも何度かあります。
これは監督員が勝手にしていることではなく、そういったことを指摘する
施主さんがいるからです。
そういったことが我慢できない、気になるからです。
同じ目で自然素材の家を見てしまうと、気になるところは新建材の家以上
にあります。
しかし、素材の性質上どうしようもないものもあります。
ハウスメーカーが自然素材を扱わないのはそういった理由もあると思い
ます。
さらに、一年後二年後を迎えれば反りや隙間なども発生しますから、
なおさらです。
ですから、ハウスメーカーのような既製品のような仕上がりを望む人は
自然素材の家に住まない方がいいかも知れません。
というか、そういった人は自然素材の家を選ばないでしょう。
物を落とせば傷がつき、乾燥すれば反ったり縮んだりする そういった
ものと割り切っておおらかに生活できる人に向いている素材だと思います。
さいわい、今までそのあたりのことは理解していただいている方に施主さん
になっていただいているのだと思います。
だからこそ、今のこの仕事が続けられているのだと思います。
そこさえ割り切れれば、デメリットを補ってもあまりある健康で快適な生活
を送ることができると思います。