作業場で新築の家の刻みをしています。
これは土台と言われる構造材で樹種は桧です。
刻みと言えばその前に墨付けをします。
墨付けには墨壷と墨差が必要です。
一般的な墨壷ですが、もっと凝った彫り物を施した墨壷
もありますが、今ではプラスチック製の簡単な墨壷を使う
大工さんが増えています。
使う機会が減ったというのもあります。
墨壷と言えば「置き去りにされた墨壷」があります。
明治12年に奈良の東大寺南門が修復されたとき、その梁の上
に墨壷が置いてあったそうです。
墨壷と言えば大工さんにとっては大変大事なもので簡単に忘れ
るようなものではありません。
大工さん(棟梁かも)が自分が関わったという証としてわざと
置いていったのではないかと言われています。
自らの身代わりとして末永くこの門を守ってほしいと願って
置いていったのではとも言われています。
この南大門は1199年に建てられたものです。
その後何度か修復もされています。
建設当初からあるものなのか、後の修復時に置かれたものなのか
はわかりません。