古民家と言われる家に行くと必ずと言っていいほどあるのがこの
四間取りの和室です。
現代ではこの広い空間は持て余してしまうこともありますが建設当時
は親戚一同が集まっても、または近所の人たちが集まってもいいよう
に、そして冠婚葬祭時に活躍しました。
これはよく考えられた間取りだと思いませんか。
襖や障子を外せば中央の1本の柱を残して大空間が生まれます。
襖や障子は夏になれば簀戸に入れ替えて涼しく過ごすこともできます。
この間取りの古民家はよくリフォームの問い合わせがあります。
そのまま四間取りの和室として使いたいという人もいれば模様替えを
してリビングダイニングにする人もいます。
いろんな使い方ができるのですが、写真でもわかるように昔の和室は
内法といって建具の高さが今の家と比べて低いです。
今では出入り口の高さはほぼ2m、場合によっては可動間仕切りのように
天井までということもあります。
それが古民家の場合は1.8m前後です。
少し背の高い人だと頭を打ちます。
「邪魔だから取りましょう」とか「上げられます」といった提案をする
工務店もあるかもしれません。
しかし、写真のように背の高い大きな鴨居は「差鴨居」といってこれは
現代の家でいうところの鴨居とは違って梁を兼ねた「構造材」です。
簡単に取ってはいけません。
また簡単に上にあげられるものでもありません。
両側に柱が立った状態で今までと同じ仕口を細工することはできません。
差鴨居は見ての通り背が高いので柱との接地面が大きいです。
それだけ地震や風で揺れても抵抗してくれるということです。
どうしてこの差鴨居というものが考えられたかというと
それまでは部屋と部屋との出入り口は幅が狭かった(半間から1間程度)
のですが、柱と柱の間隔を広くするために梁はそのままで鴨居を大きく
したのがきっかけです。