今日はこちらの家で構造の見学会でした。

「見るからに頑丈そう」

「筋違がなく、横方向の部材ばかりで在来工法の家とは全く違う」

「これなら地震が来ても倒壊しないだろう」

と思った人が多かったです。

 

 

 

 

 

 

業界の方も来られましたが、同じ建設業をしている人はみんな

「一度はこのような家づくりをしてみたい」という感想を持っ

たようです。

同じ古民家の再生をしていても、部分的にこのような仕口・継ぎ手

を使うことはあっても「一から造る」という機会はめったにありません。

 

 

 

 

 

 

それもこのような家づくりに賛同してくれる人がいてこそです。

当社はたまたまそのような機会に恵まれましたが、造りたくても

造れないのが現状です。

せっかくの日本独自の伝統的な組み方ですから、誰かが続けて

いかなければできなくなるかもしれません。

 

工業化の進んだ現代では能率の悪い家づくりにしか見えないかも

しれませんが、日本の伝統的な技術です。

数は少ないですが、この伝統工法による家づくりを続けている工務

店もあります。

一般の消費者の方から見れば、在来もツーバイもプレハブも見分け

がつかないかもしれません。

ほとんどの家が大壁ですから、石膏ボードで包んでしまえば構造は

わかりません。

この伝統工法の家も部分的に継手や仕口が見える程度です。

 

どうしてこの伝統工法の家が廃れてしまったのかと言えば、戦後の

大量生産にそぐわなかったからです。

この伝統工法の家を簡略化した家が現代の在来工法です。

特別な技術は必要ありません。

特に現代にいたってはほとんどが金物を使うことで構造を保つことが

できるのでさらに大工さんの技術というものは必要がなくなっています。

実際このような家づくりができる大工さんは限られてきていると思います。

しかし「やってみたい」という大工さんもいます。

自分が学んだ技術を使ってみたいからです。

現代では本格的な伝統工法(石場建て)ともなると簡単に確認申請をおろす

ことができません。

1年・2年といった期間が必要になることもあります。

そして何より消費者の方にとって負担となるのが施工費です。

当社では普段施工している在来工法の家でも墨付け手刻みから施工しています

が、その墨付け手刻みだけでも倍以上の手間がかかります。

また、使う材木の量も多いです。

設計も在来とは違って難しいです。

「どれくらい違うんですか」とよく訊かれます。

帰ってきた返答が「車1台分は違いますね」という答えでした。

それをもったいないと思うか、それならこの伝統工法で造ってほしいと思う

かです。

興味を持ってくれるお客さんがいるといいのですが。

個人的にはハウスメーカーの家よりははるかにいい家だと思うのですが。

比べるのもおかしいですが。

お施主様へ

今日は大事な家を見学会に使わせていただきありがとうございました。