今の家の基礎と床下です。
実際、構造の見学会でも行かない限り直接見ることは少ないですが、
こんなつくりになっています。
コンクリートの基礎の上に土台という木が這わされ、基礎のないところは
大引という少し細い木が組まれます。
その上に根太という床板を貼る下地になる木が1尺(303ミリ)間隔で
並びます。
この根太も最近はなくなって土台や大引きの上に直接合板が貼られている家もあります。
これは、古民家と言われる昔の家の床下です。
基礎がなく、束石と言われる石の上に木の束が建っています。
柱もこの石の上に立っています。
土台や大引も四角く製材された木ではなく丸太のままです。
こちらに向いている大引などは木口に仕口の跡があります。
どこかに使われていた木を流用したようです。
束の木がやせて下がったのか、地面自体が不動沈下したのか、
楔が打ってあります。
いたって簡単な作りです。
今のように基礎工事をする必要もなく、金属の束もありません。
石ならばどこでも手に入ります。
基礎がないので床下は空気の通りはいいです。
木材もおそらく近隣の山から持ってきたものだと思います。
地産地消というものです。
こんなつくりでも上に立っている家は瓦葺で大きな木材が使われた
かなり大きな家で、今の家に比べればはるかに重い家が持っています。
これが数百年続いてきた伝統のある日本本来の家づくりです。
建築基準法は法律ができてからまだ70年ほどです。
まだまだ歴史としては浅いです。
昔のこのような民家や寺社・仏閣の構造を研究している人にとっては、
どうしてこの昔からある木造建築をないがしろにしてしまい、建築基
準法による家を「良い家とするのか」ということに疑問を持っています。
伝統的な家づくりは現代の家とは違ってかなり奥の深いつくりの家の
ようです。