谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」には日本の民家のことが
「建物の上にまず大きな甍を伏せて、その庇が作り出す
深い廣い蔭の中へ全体の構造を取り込んでしまう。
(中略)外から見て最も目立つものは、或る場合には瓦ぶき、
或る場合には茅葺の大きな屋根と、その下にただよう濃い闇
である」と書かれています。
いかにもその通りの古民家で雰囲気がありますが、これは撮影
の仕方によるもので実際はこんなに暗いわけではありません。
普通に撮影すればこのような古民家です。
台所も十分明るいです。
現代の家のように採光を考えて造られているわけでは
ありませんが、不便を感じるようなことはありません。
却って落ち着いた雰囲気でゆっくり暮らせると思います。
毛をを漆喰で仕上げ、天井を板貼りにすれば、黒くなった
柱や梁はいいアクセントになります。
古民家は家としてもいいものですが、何より周辺の環境が
いいです。
こちらの家もやや高台に立地していて眺めは抜群です。
現代では世界の人口の約半分が100万人以上の都市で暮らして
いるそうです。
1950年ころはそんな年に暮らす人は30%程度だったそうで
人の脳は都市に住むことに慣れていないとのことです。
都会の人はうつ病や気分障害にかかる人が多く、40年後には
人口の70%が都市に集中すると予想されています。
ある調査によると田舎で育った人の方がナビゲーション能力が
優れていて、育った環境の地形が不規則で複雑であるほどその
能力が高いということです。
当たり前のことかもしれませんが、自然の中で育った方が五感
は鍛えられます。
古民家に人気があるのは都会で味わえないものを経験するため
でもあります。